青空のせい。

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昨年の秋に続いて二度目の鹿児島。送迎の車で橋を渡る時に微かに桜島の裾野が見えたけれど、そこから上は曇って全貌は今日は見えなかった。秋に来た時は快晴でまるで今日の鹿児島は別の街に来た印象だった。

 最近、仕事の関係でこうして全国各地を定期的に訪れている。そしてそこで全国各地から集まる同じ顔ぶれの方々と会い、ディスカッションをして、夜は土地土地の美味い店で飲む。そんなパターンが二年ほど続いてる。

 

最近は少し慣れたが、行った先々に同じ顔が並ぶことが妙な感じがした。北海道でも沖縄でも指定の場所に行くと同じ方々が迎えてくれる。全国各地から各自がそれぞれの手段で移動してホテルを取って集うのが基本形。やはり初めての土地は少し緊張感があるのだが、馴染みの顔を見つけると一気に和む。9月に札幌で会った鹿児島の方に、ようこそ!いらっしゃい!と肩を叩かれた。これは何とも嬉しい瞬間だ。言葉も顔付きも肩書きも暮らしのセオリーも微妙に違う者達だけれど不思議な連帯感で繋がる。

 

昨夜は鹿児島の天文館の和食屋さんで黒豚しゃぶしゃぶを美味しく頂いた。皆が旅慣れているせいか、旅先の話とそこでの仕事の話、そして自分の地元ネタで盛り上がる。基本的に男のみの集団なので、二次会は女性のいる店に流れるのだが、女性との会話よりも一次会の話の続きで夜が更けることが多い。それは正に視野が広がるという言い方がぴったりとする時間であり、貴重な体験だと思っている。

 

小さな島国…なんて言葉があるが、僕にはこの国はまだまだ大きい。訪れたことのない土地がまだまだ沢山ある。仕事であってもプライベートであってもいいが、そんな未踏の土地への興味は尽きない。

 

そう言えば、ホテルで明け方に夢を見た。とても平和で優しい気持ちに溢れる夢だった。接点のあるはずのない知人や友人同士が壁の前に5、6人並んで、穏やかな顔で楽しそうに談笑していた。それを僕は満ち足りた気持ちで眺めていた。その壁の向こうには高い椰子の木があった。昨日 海に近い通りで眺めた椰子の木かも知れない。椰子の木は寒そうだったけど、とても癒された。何か昇華して行くような癒しを感じた。それが夢に現われたのだろう。

 

空港行きのシャトルバスで九州自動車道を走りながら短い旅の記憶を整理していると、意外に早く空港に着いた。

 

馴染みの店で黒豚汁定食を平らげ、土産を買って早めにセキュリティーを抜ける。

 

紫色にカラーリングした知らない会社の飛行機が飛び立って行く。

 

アナウンスが奄美行きやら沖縄行きを案内している。羽田行きを島行きに変更したい衝動にかられる。きっと東京は寒いだろう。

 

鉛色だった空がきれいな青に変わった。

まだ、離陸までに随分と時間がある。

 

とりあえず、ビールだ。

 

これは不可抗力だ。青空のせいだ。

 


したかない…。(o^^o)

羽田にて。

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羽田空港の72番ゲート。いつもは人で溢れるこの場所も今日は閑散。水曜日の昼下がりという中途半端な時間のせいだろうか…。搭乗予定の鹿児島行きの時間まではまだ二時間弱の余裕がある。

 

さすがに搭乗口前のソファーはちらほらと人がいて、広島便、熊本便などを待っている様子。閑散とした空間の中でも更に人の少ないパソコンコーナーを見つけて逃げ込んでみた。普通のコンセントに加えて充電用のUSBコネクタが完備されている。iPhoneをつなぐと直ちに充電が始まった。しかも2Aと心強い。さすが日本の空港のやることは芸が細かくてありがたい。

 

ピアノの音が聞こえる。きっとこの場所では生演奏ではないと思うが、グランドピアノのダイミックレンジを感じる音だから、スピーカーでなく自動演奏だろう。ジャズ…ではない。テンションを混ぜたコードをゆっくりと回している様な音。旋律とか曲とか言うよりも音…という方がピッタリと来る。

 

晴れて穏やかな滑走路が遠くに見える。航空各社のロゴを纏った飛行機が搭乗口からゆっくりと行儀よく並んで滑走路に向かっていくのが印象的だ。まさかこんな場所でこんなに緩い快適な時間が手に入るとは思わなかった。この感じなら今日は雲の上からいい感じの夕暮れが見れるだろう。夕方のフライトは実はそれが目的だったりする。

 

そう言えば、初めて飛行機に乗ったのはいつだったろう…。確か19歳の冬だった気がする。ANAの仙台行きだったと記憶している。仙台の近傍の温泉で忘年会があり、それに参加するために乗った。しかも人の支払いで…。当時はいわゆるバブルの頃で社会に金が溢れていて、僕らは小僧の頃に贅沢を覚えてしまった気がする…。

 

初めての海外フライトはキャセイバシフィックでの香港。香港はどうにも湿度が高くて暑苦しい空気が好きになれずに一度しか訪れていない。そして、再度訪れようとも思わない。まぁ、そんなことを言いつつもビクトリアピークから見た九龍の夜景は歌にした位の好きな景色ではあったのだが…。

 

その後に本格的にハワイにハマり、毎年のように成田からハワイに通うことになる。初めて羽田空港を使ったのは長女が生まれて初めてのハワイへのフライトだったと思う。まだ一歳の長女を連れての長旅は大変と予測して、成田へ行かずにサクっと飛べる羽田を選んだのだった。しかし成田と違って航空会社の選択にも制限があってチャイナ・エアーを使ったのだけど、振り返ればとても快適なフライトだった。全く料金を払っていない長女に航空会社はお菓子の詰まったリュックをプレゼントしてくれた上に、子連れということで特別扱いを頂き、長蛇の列にも並ぶことなく全く快適な旅だった。

 

ハワイの素晴らしさを書き始めると乗り遅れそうになる位書いても書き足りないので割愛することにする。また、ハワイは体験するという表現が適していて、僕などの限られた語彙では伝えきれる自信が全くないので…。

 

それからしばらく空港には縁のない時期が続くのだが、ここ数年は度々国内線のお世話になっている。それまでは仕事の移動と言えば新幹線ばかりだったが、遠方への移動が増えて必然的に空港を利用することが多くなった。特に九州はよく訪れていてこの二年で福岡やら鹿児島やらで四回訪れている。そう言えば高校生になった長女と一週間違いで札幌に行ったのは去年の9月のことだった。

 

行く先々の土地の思い出は語り始めたらキリがない。出会う人、食べ物や酒、その土地の独特の雰囲気…。やはり、空港はそんな思い出のデフォルトゲートウェイなのだと思う。

 

空港へ向かう電車から眺める海の景色と、活気がありつつもどこか厳粛な空港の空気感が大好きだ。ワクワクとホッとか同時にやって来る不思議な場所だから。

 

ビールの缶が空いた。

 

ファイナルコールはまだまだ聞こえない。

 

…なんつって (笑)